意味役割付与システムASA
日本語の入力に対して係り受け解析器 (CaboCha)を適用した後,ある述語(動詞,サ変名詞,形容詞,形容動詞) と係り元の文節に対して意味役割を付与し,さらにその時の述語の語義(概念フレーム)を付与します.
例えば「今日は彼と公園に行った」を入力すると下記ようにCabocha f1 フォーマットに合わせて,意味役割と概念フレームを出力します.
sentence: 彼は6時に公園に行った
ID: 0 彼は
link: 3
type: elem
main: 彼
part: は
category: 人
semrole: 動作主
arg: Arg0
score: 4.0
frame: 3-verb
tense: PRESENT
0 彼 カレ 彼 名詞,代名詞,一般 O
1 は ハ は 助詞,係助詞 O
ID: 1 6時に
link: 3
type: elem
main: 6時
part: に
category: 時間
semrole: 場所(時)(点)
frame: 3-verb
tense: PRESENT
sentelem: ADVERBIAL
0 6 * 名詞,数 O
1 時 ジ 時 名詞,接尾,助数詞 O
2 に ニ に 助詞,格助詞,一般 O
ID: 2 公園に
link: 3
type: elem
main: 公園
part: に
category: 場所
semrole: 着点
arg: Arg2
score: 16.6797
frame: 3-verb
tense: PRESENT
sentelem: ADVERBIAL
0 公園 コウエン 公園 名詞,一般 O
1 に ニ に 助詞,格助詞,一般 O
ID: 3 行った
link: -1
type: verb
main: 行く
part: た
category: その他
score: 20.6797
semantic: 状態変化あり-位置変化-位置変化(物理)-着点への移動-
frame: 0-動作主-Arg0,1-場所(時)(点)-,2-着点-Arg2
voice: ACTIVE
tense: PAST
sentelem: PREDICATE
polarity: AFFIRMATIVE
mood: INDICATIVE
0 行っ イッ 行く 動詞,自立 五段・カ行促音便 連用タ接続 O
1 た タ た 助動詞 特殊・タ 基本形 O
上記の
解析結果は述語「行く」に係る文節に対して semrole と arg が意味役割である.semroleは日本語の名称での意味役割で,初期に提案された主体役割を拡張したものである.一方,argは PropBankで提案された数字による意味役割を表しており,Arg0からArg5は必須格を表す.
また述語の「行く」の概念フレームは semantic で示されている.概念フレームは最大5階層からなっており,「状態変化あり-位置変化-位置変化(物理)-着点への移動」であることが解析できている.
Arg0やArg2は概念フレームによって意味が異なる.「着点への移動」の概念の場合,Arg0は動作種,Arg2は 着点を表している.
また「6時に」の意味役割 「場所(時)(点)」は「時間」を表している.本当はPropBank形式で ArgM-TMP が出るべきであるが,規則ベースの解析で上記のdefaultは辞書が古いので出ていない.新規の辞書については現在(2024/2),内部的に開発しており,branchを切り替えることで出せるようにしたい.
意味役割付与の精度は概ね 50%程度,概念フレームも50%程度である.この付与精度を向上させるのが課題である.