意味役割付与システム (ASA)

Argument Structure Analyzer (ASA)
関連サイト: ASA Scala (2.x)ASA Scala downloadASA Scalaのソースコード述語項構造シソーラス, ASA のデモは現在停止しております

ASA Scala 2.x をpythonに書き換えました 2019/7

意味役割付与システムとは

下記のように入力文に対して述語項構造解析を行い,その後,述語の語義を同定して,係り関係にある項の意味役割を付与するものです.

  • (入力文)
    • 昨日彼は私に手紙を送った.
  • (出力)
    [昨日] 場所(時)(点) => 時間(点)に変更予定 (2015.10)
    [彼は] 動作主
    [私に] 着点(人)
    [手紙を] 対象
    [送った] 状態変化あり-位置変化-位置変化(物理)(人物間)-他者への所有物の移動-提供

のように述語に対して,概念(「提供」)を付与し,述語にかかる係り元(項と呼ぶ)に意味的な関係を付与するものです.例えば「彼は」は「送った」に対して「動作主」という意味役割であることを示しています.意味役割は現在72種類で意味役割の一覧は述語項構造シソーラスに示しています.

句の分解と形態素解析には奈良先端科学技術大学院大学のCaboChaを利用しています.また,解析対象は述語項構造シソーラスに掲載されている動詞,形容詞,形容動詞のみです.

述語項構造解析 ASA Scala のデモ (2015年〜)

意味役割付与システムASA のデモこちらです.現在(2015年〜)は Scalaで構築しています.形容詞,形容動詞,動詞,ついて約1.1万の語彙に対応しています.最新版はこちらでご確認下さい

下記は2015以前の古い説明.記録のために残しています

下記のように入力文に対して述語項構造解析を行い,その後,述語の語義を同定して,係り関係にある項の意味役割を付与するものです.

  • (入力文)
    • 昨日彼は私に手紙を送った.
  • (出力)
    [昨日] Time-Point
    [彼は] 動作主
    [私に] 着点(人)
    [手紙を] 対象
    [送った] 状態変化あり-位置変化-位置変化(物理)(人物間)-他者への所有物の移動-提供

     

    この例の場合,「送る」の動詞の語義が「状態変化あり…提供」というもので,その項がそれぞれ Time-Point, 動作主,着点(人),対象という意味役割を持ってることを示しています.

    動詞の語義体系と意味役割は動詞項構造シソーラスに準拠しています.意味役割は約80種類です.必須項で約70(動作主,対象,相手,経験者..),付加 詞で約10程度(Time-Point, Time-Line, Location, …)ですが,現在語義付与コーパスも構築しながら事例を追加を目指しています.必須の意味役割は漢字で,時間や場所など付加詞は英語で記述されていま す.

    動詞項構造シソーラスには現在4400語の動詞が登録されており,これ以外の動詞についての語義と意味役割について出力しません.現在語義付与コーパスも構築しながら事例を追加を目指しています.

    句の分解と形態素解析には奈良先端科学技術大学院大学のCaboChaを利用しています.

download (1.x系 perl版)

開発中ではありますが最新版はこちらからdownloadできます.MIT License で配布します.(現在はメインテナンスしていません.Scala版をどうぞ 2015/8)

インストール(1.x系perl版)

こちらにインストールの方法が書かれています.

使い方(1.x系 perl版)

参加メンバー

  • 森安君,守屋君,土山君(〜2012),森田君(2012〜)

発表文献

竹内孔一,土山傑, 守屋将人, 森安祐樹. 類似した動作や状況を検索するための意味役割及び動詞語義付与システムの構築. 言語理解とコミュニケーション研究会, NLC2009-33 pp.1-6, 2010.1.25.

研究内容

入力整形モジュール

意味役割付与システムのうち,入力整理モジュールの開発を行う.
内容としては,cabochaの出力を元に文章の整理を行う.

  • 複合名詞の分解
  • 形態素単位での係り関係の整理

境界再設定モジュール

意味役割付与システムのうち,境界再設定モジュールの開発を行う.
内容としては,イディオムの結合,複合動詞の分割,主要動詞の特定である.

  • 「足が出る」などの慣用句が出現した場合,まとめる
  • 複合動詞のheadの推定

動詞語義・意味役割付与モジュール

意味役割付与システムのうち,動詞語義・意味役割付与モジュールの開発を行う.
内容としては,上記のモジュールで付与された情報をもとに,動詞語義及び意味役割の付与を行う.

  • 係り関係,動詞の態などから,動詞の語義を決定
  • 係っている動詞の語義をもとに意味役割を決定

関連する他のシステム

EDRベース意味役割付与システムAYA

青山学院大学 原田研究室が開発したEDRペースの意味役割付与システム. 係り受け解析にはKNPを利用し,述語語義と意味役割は EDR辞書を拡張して利用.EDRは巨大な日英対の辞書とコーパスで,40万語の辞書と概念IDがある巨大な言語資源.

EDRベースの意味役割付与システム AYAのdownloadはこちらから http://www.jsa.co.jp/contents/GG/group/Aya/aya.htm.有料です.

述語項構造付与システムYuCha

奈良先端科学技術大学院大学が提供するシステム.語義や意味役割は付与しませんが,述語に対するガヲニを付与します.しかしこれがなかなかいいわけです.例えば

「今日は [=ga 彼は] 来ない」

のように同じ「は」でも,時間などの直接項になり得ないものはちゃんと外します.こういう確実なところを高速に押さえるというのがさすがですね.(2014年1月調べ).http://hayashibe.jp/yucha/

述語項構造解析システムSynCha

東京工業大学飯田先生のシステム.文の解析単位が1文ではなく複数文に対応していて,ゼロ照応を文をまたいで解くシステム.すばらしい.係り関係のタイプはガヲニです.https://www.cl.cs.titech.ac.jp/~ryu-i/syncha/

日本語文から拡張型述語論理式への自動変換ツール: CONV

拓殖大学石川研究室が配布する日本語を述語と意味役割に整理して述語論理式に変換するシステム.これをベースとする推論システムARSKというシステムがあり,推論が行える.名詞の述語(次郎は8歳だ)なども属性と属性値に分解されて述語化される.また,複文(〜した時,〜した場合)も対応している.処理の詳細は人工知能学会論文誌2012参照

拓殖大石川研究室 convデモページ http://www.cs.takushoku-u.ac.jp/ai/html/demo.html

日本語述語項構造解析ツール: ChaPas

東北大学 乾・岡崎研究室が開発する述語項構造解析システム.Javaベースのシステムで,各項に対して,ga, o ni などの関係を出力する.

https://sites.google.com/site/yotarow/chapas